2011年3月11日に発生した東日本大震災から1年が経つ。この大きな災害は、日本だけでなく、世界中に健康と安全のあり方について波紋を投げかけ、WHOも2011年の主要問題として取り上げた。
自然災害による健康被害への警鐘
WHOは2011年の健康問題を振り返り、「HIV、結核、マラリヤなどの新規感染者や死亡者が減少した一方で、日本の震災、津波やリビアなどの紛争が大きな被害をもたらした」と発表した(http://www.who.int/features/2011/year_review/en/index.html)。これまで人々の健康を脅かしてきた感染症を人類が克服しつつある一方で、自然災害や紛争による健康被害に対する取り組みが必要であるとの認識がますます高まった。
2010年のハイチ地震では、社会基盤の脆弱さによって30万人以上が犠牲となった。そして昨年3月の東日本大震災は、多くの犠牲者を出したばかりでなく、福島の原子力発電所の爆発と放射能漏れという大災害に発展した。
地震は、人口密集地帯や複雑な構造を持つ都市で、より大きな被害をもたらすことが改めて示されたのである。特に、東日本大震災では、日本というテクノロジーの最先端をいく国が、原子力発電所の災害を防げなかったことに、世界中がショックを受けた。日本だけでなく世界中に広まった放射能への不安に対し、WHOは4月8日に日本の原発事故による健康への影響についてQ&Aを発表した(http://www.who.int/hac/crises/jpn/faqs/en/index.html)。
東日本大震災を機に、多くの国が自国のエネルギー政策を見直し、フランス、アメリカ、ロシアが原子力発電推進姿勢を継続する一方で、スイスは脱原子力発電(脱原発)を決め、イタリアやインドネシアは原子力発電所導入計画を白紙に戻した。
●聖路加看護大学の福島支援
津波によって放射能漏れが発生した福島では、放射線による健康被害への不安、仮設住宅での不便な生活、風評等による農産業への打撃などが今なお続いている。聖路加看護大学は、NPO法人日本臨床研究支援ユニット理事長の大橋靖雄氏(東京大学医学部教授)による東北地方災害支援のための「プロジェクト きぼうときずな(http://kiboutokizuna.jp/)」に賛同し、看護師の派遣を実施してきた。
2012年第9回WHO看護・助産グローバルネットワーク会議
WHO看護・助産グローバルネットワーク会議の後援により2012年6月30日、7月1日に神戸のポートピアホテルで国際会議が開催される。議長は兵庫県立大学の山本あい子教授で、テーマは「Even with Basic Health Care, Prepared for the Unexpected(基本的ヘルスケアでさえ不測の事態に備える)」である。テーマである災害看護だけでなく、さまざまな分野での議論が行われる。世界の看護・助産のリーダーたちが集まる場で看護の連携を強め、日本から世界にメッセージを送ることは非常に意味がある。一人でも多くの看護職が参加されることを願う。
文責:長松 康子(ながまつ やすこ)